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痛みと漢方

痛みと漢方

漢方

痛みで悩んで受診する方が、毎日何名かおられます。
原因がよくわからない、という理由で漢方を試してみよう、という方もおられます。

現代医学的に検査を重ねても、結局痛みの元がわからない場合は、とにかく痛みを止める・緩和することになります。
これは私は大事なことだと思います。

しかし、違った視点でモノを見れば、見えることもあります。
そうして見えた原因を治せれば、それが一番良いことです。

・・・というのは簡単です。
漢方でやっていても、見えない場合もありますし、見えたとしても治療効果が芳しくないことも往々にしてあります。
それでも、漢方を使っていない医療者には、ヒントになるかもしれないと思い、あえて書いてみます。

漢方では、
「気血の流れが悪くなると痛む(不通即痛)」
「気血の流れがよいと痛まない(通即不痛)」
という考え方があります。あるいは、
「気血でよく栄養されない場合は、痛む(不栄即痛)」 「気血でよく栄養されていれば、痛まない(栄即不痛)」
というのもあります。

結局、痛むのは、
① その場所に気血がちゃんと届いていないか
② そこで気血が滞っているか
というのが原因病態です。

不通即痛

気が通じない場合は気滞、血が通じない場合は瘀血といいます。
痛いところが比較的明瞭で、ピンポイントに指すことができ、激痛のことが多いようです。
また、「水」が蒸されたり、冷えたりして滞留し、べとべとの塊になったものを「痰」といいますが、痰ができた場合も、気血の流れを阻みますので、これも痛みの原因になります。

不栄即痛

気血の量が少ない気虚、または血虚です。
痛みはぼんやりしていて、鈍いことが多いようです。

気滞の痛みは、気の欝滞を流す治療をやります。
半夏厚朴湯、香蘇散などの「行気剤(理気剤)」などが基本です。

瘀血の痛みは、血の塊を溶かして流すような治療をします。
桂枝茯苓丸などが活血剤の基本です。

痰の場合は、痰を溶かして流す治療をします。
この場合は去痰剤として二陳湯、六君子湯、抑肝散加陳皮半夏などを用います。

気虚の場合は、気を補う、四君子湯などが基本です。
血虚の場合は、血を補う、四物湯などが基本です。

実際には、これらの病態が組み合わさっていることが多く、漢方薬もいろいろと組み合わせて用います。
そこはかなり難しいのですが、いずれも用いていない場合、まず適切と思われるものをひとつ、用いてみるのも手だと思います。

附子について

附子(ぶし)という生薬があります。
狂言でもタイトルになっている「ぶす」で有名です。
ひとことでいえば毒です。
その辺に生えている「トリカブト」の根っこですが、もちろん薬として用いる際は、無毒化してあります。
加熱処理を適正にやることで、薬効が残り、毒成分が不活化されます。
適正に、というのは難しいので、製薬会社、専門の薬剤師以外はやってはいけません。

さてその加熱処理をされた附子を「加工ブシ」とか「炮附子」(炮=あぶる)といいますが、われわれが治療に用いるのはこちらのほうです。
効能としては、
① 痛みをとる
② 温める
③ 強心
がうたわれています。

痛みをとる効果は、単体の生薬としては一番優れており、桂枝加朮附湯、大防風湯、桂枝芍薬知母湯などの漢方薬にも配合されています。
これらの漢方薬は、神経痛、関節痛、リウマチなどによく用いられます。

「加工ブシ」とか「炮附子」は、これだけでも粉になっており、ほかの漢方エキス製剤に1日1~3グラムほど足して使うこともよくあります。
効能から推定できるように、冷えて痛むようなときにいちばんよいわけです。

効果のメカニズムは気血の流れを増すことによるものだといわれています。
ですから、痛みや冷え以外にも、ある漢方薬の効果をもっと引き出したいとき、1日1グラム以下程度を加え、気血を巡らせ、目的の漢方薬をも巡らせて全身へ届ける、ということもよくやります。