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不妊と漢方

漢方で不妊治療

不妊症でお困りの方が少なからずおられます。
現在は、人工授精、体外受精、顕微授精など、さまざまな医療技術が進歩しています。
本ページではこれらをひっくるめて、以下「人工的授精」と表現します。
赤ちゃんを授かる可能性が、技術的には以前よりも大きくなっているといえるでしょう。

しかし、それにもまして、妊娠希望の女性が妊娠するのは困難になってきているようです。

ひとつには、年齢の問題があります。
仕事を続ける、学問を続ける、そういう事情で結婚、妊娠などの年齢が上昇しています。
ここ40年間で5年も伸びたというデータがあります。

また、ストレス社会が度を増していますが、ストレスは妊娠の邪魔をします。
ストレスがかかると生理が遅れたり、以上に出血が長びいたりすることがありますが、これらはホルモンの分泌が乱れるために起こります。

ホルモンは、きわめて薄い濃度で効きますが、主な女性ホルモンのエストロゲンは1日に耳かき一杯すらも分泌されません。
何かが邪魔をすると、ちょっとしたことでも容易に分泌が止まってしまうのです。

また、住環境の快適化が、逆に不健康をきたしていることも挙げられます。
にも冷たいものが摂れる、エアコンの効いた部屋で1日汗をかかずに済む。
これらは一見よさそうですが、暑いときには汗をかく、寒いときには縮こまって震える。
これは体を鍛えるのにある程度必要だと私は考えます。
適度な運動で心肺に負荷をかけないと、心肺機能が落ちていくような、筋肉を使わないと筋肉がやせていくような、そういうものと同じでしょう。

現代人は、車があり、夜中もコンビニがあり、いつでもビデオを見ることができる…。
生活が便利になる一方で、体を使わなくなっています。
スマホやPCで、目や脳は疲れる一方です。

あとは、単純に、みなさん冷えています。
これは、筋肉量が昔の人より少ないこと、ダイエットで筋肉までやせてしまっていること、などが原因でしょう。
エアコンの普及で、夏でも冷えている人が増えています。
余談ですが、ダイエットは、体を一種の飢餓状態にしますので、ホルモンなどの分泌も平常時と変わってしまいます。

長々と書いてきましたが、ほかにもいろいろと原因はあるでしょう。
とにかく、最近は「妊娠しにくい時代」だと思います。
漢方で不妊にどう対処するのでしょうか?
まさか漢方治療そのもので、生活習慣を変えたり、ストレス源をなくしたり、そういうことはできません。
人工的授精の代わりになるものでもありません。
不妊治療における漢方の役目は、妊娠しやすい体づくりのサポートです。

漢方治療、と書きましたが、本来治療というのは、薬や注射、手術だけを指すのではありません。
生活面での指導も含みます。
ひとりずつ生活スタイルが違い、体質も違うので、細かい指導が本来は必要です。
これは不妊治療においても同様です。
そして漢方薬も、おひとりずつに合わせて何らかのカスタマイズが必要なのは当然です。

どの漢方薬を使えばよいのでしょうか?

いろいろな生薬、漢方薬を用いますが、妊娠に特化したものというのは実はありません。
すべて「本来の体の機能を取り戻す」ものばかりです。
「本来の体の機能を取り戻す」ことで、本来持っている妊娠力をも取り戻す、という考え方をするわけです。

年齢について

歳を取るといろいろな機能が落ちてきます。
妊娠力、ということばがあるかどうかわかりませんが、これは漢方的には28歳ころがピークだろうと考えます。

古典である「黄帝内経」にはこのように書いてあります。

女子七歳、腎気盛、歯更髮長。
二七而天癸至、任脈通、太衝脈盛、月事以時下。故有子。
三七腎気平均。故真牙生而長極。
四七筋骨堅、髮長極、身体盛壮。
五七陽明脈衰、面始焦、髮始墮。
六七三陽脈衰於上、面皆焦、髮始白。
七七任脈虚、太衝脈衰少、天癸竭、地道不通。故形壊而無子也。

漢文で難しいかもしれませんが、二七というのは2×7₌14歳、三七は21歳…という意味です。
これによると、
14歳で月経(生理)が始まり、子を産む能力が身に付きます。
28歳で身体がもっとも盛んであるということです。
35歳で顔色の艶がなくなり始め、髪が抜け始めます。
42歳で白髪が出始め、49歳で生理が終わり、子供が産めなくなる、

という意味です。

これでいうと、35歳を過ぎると、自然な妊娠は難しいという解釈ができます。
2,000年前の記述ですが、現在の状況とだいたいあっていますね。
そこで人工的授精ということにもなるのですが、体のほうが受け付けない、ということもあるのでしょう。

もちろん、今と寿命が違うし、今の高齢者のほうが若く見える、という反論もあるでしょう。
これについても、このように書いてあります。

上古之人、其知道者、法於陰陽、和於術数、食飲有節、起居有常、不妄作労。
故能形与神倶、而尽終其天年、度百歳乃去。
今時之人不然也。以酒為漿、以妄為常、酔以入房、以欲竭其精、以耗散其真。
不知持満、不時御神。務快其心、逆於生楽、起居無節。故半百而衰也。

簡単にまとめると、昔の人は生活に節度があったから天寿を全うし、100歳で亡くなったものであるが、今の人は不摂生なので、その半分すなわち50歳で衰えてしまうのだ

ということです。

漢方では「腎」の働きが成長・生殖・抗老化作用などをつかさどっていると考えます。
ですから、ふさわしい生薬は、腎の作用を補う~鍛えるような作用のあるものになります。
地黄・附子・山茱萸・山薬・杜仲・枸杞子などの生薬が保険診療では用いられます。
代表的な漢方薬は八味地黄丸(八味丸)、六味丸などです。

ストレスについて

これは漢方では「気」の流れが悪くなるというふうにとらえます。
「肝」が気の流れをつかさどるとされています。
気の流れが悪くなると、「血」の流れも悪くなります。

したがって、ストレスを受けている場合にふさわしい生薬は、「肝」の作用を補う~鍛えるような作用のあるものになります。
これと、血の流れをよくするような作用をもつものが適しています。
前者は、柴胡・山梔子・香附子・蘇葉・陳皮・半夏・厚朴などが、後者は、当帰・川芎・桃仁・牡丹皮・芍薬・大黄などが、それぞれよく保険診療では用いられます。
代表的な漢方薬は加味逍遙散、女神散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、当帰芍薬散、四物湯などです。

ホルモンの分泌調整について

これは漢方では「腎」の作用の一部と考えます。
ですから、ふさわしい生薬は、腎の作用を補う~鍛えるような作用のあるものになります。
地黄・附子・山茱萸・山薬・杜仲・枸杞子などの生薬が保険診療では用いられます。
代表的な漢方薬は八味地黄丸(八味丸)、六味丸などです。